「会社を辞めない」という決断

外資系企業という場所。
当時そこには、いわゆる「バリキャリ」という言葉を地で行く女性たちが溢れていました。
子供を持つ女性はほんの一握り。
産休から復帰すれば(育休じゃないんですよ…)、何事もなかったかのように即座にフルスロットルで駆け出す。
それが当たり前の、眩しいほどに効率的な世界でした。

職住近接が必須(わたしはそこまで近くなかった)。
無駄を省き、仕事とプライベートを鮮やかに両立させる彼女たちに囲まれて、私もその歯車の一部として走ってきました。

けれど、わたしの妊娠がわかったとき。
仲が良いと信じていた友人の口から出たのは、祝福ではなく、冷ややかな宣告でした。

「子どもができたら会社は辞めるべき。周りの迷惑になるから」

その言葉を聞いた瞬間、目の前の景色が少しだけ歪んだ気がしました。
自由で、合理的で、個人の選択を尊重するはずの外資系企業。
そんな場所であっても、結局根底にあるのは「標準から外れる者は迷惑」という、古くからある日本的な同調圧力と変わらないのではないか。

その時、私は心の中で静かに、けれど強く決めました。

「いや、辞めないよ」

結局、日系だろうが外資だろうが、組織の中にいる限り「正解」を押し付けてくる人はどこにでもいる。
でも、わたしのキャリアも、わたしの人生も、誰かの「迷惑」という尺度で測らせるつもりはないのです。

そして私は今も、自分の足で立ち続けるため、あの時と変わらずに働き続けています。

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